高齢化社会の財産管理 成年後見制度から家族による信託へ その2
成年後見制度では「財産を守る」ことはできても財産を積極的に増やしたり、後見人となった親族が
自由に動かしたりすることができなくなる。
そこは大きく勘違いされているところで親族は後見人になれば自由に動かせるので相続税対策などをしようとしたり、被後見人の財産を用いて新たに投資をしようとしたりする、これは成年後見の制度ではアウトである。
では、どうしたらよいか、ということで注目されているのが家族による信託である。
例えば、親が所有するアパートがあるとする。現在はまだ親は元気で管理もできているかもしれないが、もう70代で管理がいつまでできるかわからない。
判断能力が衰えたときに子に成年後見人になってもらい管理してもらうということが考えられるが、成年後見でできるのは「財産を減らないようにするだけ」である。
もし、管理しているアパートがかなり高い値で売れるようなチャンスがあったとしても成年後見人の権限では売ることが難しい。また、大規模リノベーションをして物件の価値を上げようとすることもできない。
成年後見人にできることは実はかなり限られている。
上記のような問題を解決するために親と子で信託契約を結び、アパートを信託財産、子を受託者、父を委託者県受益者とすることが考えられる。
具体的にはアパートの名義は子に書き換えられ、子は自分の名前で管理・処分を行う。父はアパートの管理・処分は子に任せるがその利益を受け取ることができる。信託契約の終了は父の死亡時とし、アパートは子に相続させることとする。
この場合重要になってくるのは父の意思がはっきりしているときに契約をしなければならないこと、契約のないようはかなり自由に設定できる、例えば、改装などはじゆうにできるが、売却はしないなどの条件を付けることも可能なので、司法書士や弁護士などに相談しながら契約内容を検討する必要がある。
不動産の管理は家族による信託の1例に過ぎず、同族会社における議決権の分散を
阻止するために株式を信託財産とするなどかなり自由な設定が可能である。
現在はまだ事例に精通した専門家も少ないが、今後活用されるべき財産管理法となるように思われた。