高齢化社会の財産管理 成年後見から家族信託へ(その1)

昨日、FPの継続教育研修にて家族信託についての講義を受けた。

「信託」という言葉からは「なんとか信託銀行」とかしか思い浮かばず、たぶんそれぐらい認知度や普及度が低いせいか、「信託」について定めた信託法は大正11年に市行為されてから平成19年に84年ぶりに改正たという程の放置されっぷりだから、特に法律を勉強したわけでもない人間にとってなじみのないのは当然といえば、当然なんだろう。

詳細はさておき、今回のテーマは高齢者が徐々に意思能力を失っていく際の財産管理の方法について、成年後見制度の概要と課題、成年後見ではできないことを家族信託によって補うスキームについて司法書士による解説を受けた。

成年後見における財産管理はとにかく「守り」である。

親の成年後見人に子がなると使途などについてはかなり制限されるように感じるだろう。具体的には、例えば入所施設や病院に手土産を持参する人は多いがそれを親の財産から支出してはいけない。親名義の土地に自分の家を建てことができなかったり、自宅を売ることができなかったりする。ちょっとした財産の処分についても家庭裁判所に確認し、報告書作成義務もあり、慣れない人はうんざりするだろう。

さらに新たに投資をしたり、相続税対策するための生前贈与もできなくなる。ちなみに相続対策は相続する人たちの利益のためであり、被相続人の利益のためではないからという理由らしい。

結局、成年後見人に親族がなったものの財産の混同があったり、報告書が作成できなかったりで、現在は親族による後見は平成27年では29.9%(その10年前は77.4%)と減っている。親族にとっては後見人になれば自由に動かせると思っていたのに、財産を凍結されたように感じるのかもしれない。さらに成年後見人の財産管理は被後見人が亡くなるまでであり、相続による財産承継には別の対策が必要になってくる。

というけで注目されているのが家族信託なのである。